1969年に、川崎の高校で起こったある少年犯罪。その被害者家族を、10年がかりで取材したルポタージュである。
その事件は、サレジオ事件と呼ばれるもので、被害者は複数箇所を刺された上、首を切断されていたという残忍なものである。被害者加害者ともに、高校1年でクラスメイトであったという。
こういった事件の被害者家族の痛ましさについて、当事者以外きっと理解しきれることはないだろう。自分の子供が死ぬということ、しかもそれが殺人なのだ。
本書では、被害者家族の日々についてのルポが掲載されているが、このつらさ、気持ちは部外者が感想を述べる余地すらないと思うので、そのあたりについて、私は特にコメントを書かない。
ただ、この本を読んでいて、非常に残念に感じたのは、この本のまとめかただ。内容が内容なだけに、この本を批判するというのはちょっと抵抗があるが、正直、本としてあまりいい出来がいいとは思わなかった。
時系列メチャクチャに、被害者家族の話をダラダラと書き綴っているだけに感じてしまうのである。これは、被害者家族の混乱した気持ちを表現するために、意図的にやっているのかもしれない。あとがきで、この本の手法について、様々な情報を補いながら構成したなどと、著者自身書いているが、もう少し要領よくまとめて欲しかった。
なお、この犯人である少年Aは、弁護士になって裕福に暮らしているという。
犯人の父親から賠償金として支払われたのは、たった40万円。父親は暴力団に事件をネタに金を巻き上げられて、支払い能力がなくなったらしい。
支払い義務があるのは、父親である。しかし、名士となった少年Aからは、一切の謝罪もなく、「金が必要なら、貸してやる」などという発言が飛び出したという。
被害者自身、そして被害者の家族たちの失ったものは、金で解決できることではない。しかし、この少年Aである弁護士●●●●(ネット上で、ほぼ本人が特定されている)の態度には閉口させられた。
今後、被害者家族の心に「決着」がつくかどうかはわからない。しかし、この本は、やはり「決着」をつけるための一つの手段として世に出たものだろうと思う。
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