医学ミステリーや医者モノのヒューマンドラマなどは多数あるが、本書ほど衝撃的な医学小説はないだろう。
この本を読み始めた人は、本書の前半部分が、まるでノンフィクション(ドキュメンタリー)のようであることに、まずは驚くのではないだろうか。
(実は、私は予備知識なしに本書を読み始めたのだが、最初は「これはノンフィクションなのか?」「小説読むつもりが、違うものを読み始めてしまった」と本気で思ってしまった)
その次に読者は、不自由な手足は切断すべし!というある医師の治療方針、そしてその描写に衝撃を受けるだろう。
本書では、『破裂』でも扱われた高齢化社会の問題点が、この作者特有の表現(作中人物の危険ともいえる思想)で、生々しく浮き彫りにされている。
とにかく、衝撃と驚愕の医学小説である。最後の最後まで、緊張感はとぎれることはない。是非一読をオススメする。小説としては、素晴らしいと思う。
だが、読了後、いや?な気分になる可能性も高いので注意。
不適切なことを書いてしまうが、
手足を切断された老人たちが、楽しそうに球技をするシーンは、まるでフリークスショーのようですらある。
なお、著者の久坂部羊は医師。今のところ、本書(デビュー作)、『破裂』、『無痛』の3つの小説作品のほか、『大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す』、『日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか』の2つのノンフィクション作品を発表している。
